新生銀行グループ・アプラスの海外プリペイドカードGAICA

海外旅行用の外貨プリペイドカードが最近人気を集めているようで、新たなカードが発行されたというニュースが最近相次いでいますが、このたび新生銀行グループのアプラスが海外プリペイドカードGAICAを発行しました。今なら500円分のボーナスがもらえるキャンペーンも行われています。

しかし、この手の外貨プリペイドカードは、両替手数料が非常に高く、ATM手数料まで取られるので、GAICAを含めてお得なものは皆無と言っていいでしょう。外貨プリペイドカードでなんとか使えそうなのはマネパカードくらいですが、そのマネパカードですら手数料が安いとは言えないです。

GAICAは新生銀行の外貨預金と連携しているので、同行に口座がある人は持っていてもいいかもしれません。円貨に限っては新生銀行の口座との間で手数料なしで両方向に移動することができます。マネパカードの国際ブランドがMASTERなので、VISAブランドが欲しい人にも選択肢となるでしょう。外貨プリペイドカードは事前に入金した以上の利用はできないので、不正利用の被害が限定的であるというメリットもあります。

とはいえ、クレジットカードによるキャッシングがコスト面では最強なのは今や常識で、海外でショッピングをするならマイルが貯まるクレジットカードを使えばいいし、キャッシングをするにもセディナカードを使って現地からネット経由で繰り上げ返済すればいいので、実際のところ外貨プリペイドカードの出番はないと思います。

アプラスのGAICAで不安に思われるのは、新生銀行ではなく、あくまでグループ会社のアプラスが発行しているということです。カードの不正利用のようなトラブルがあったときに信販系の会社は対応に不安があるというのはセディナカードで経験しています。

信用を重視している銀行系と違って、収益重視の信販系はどうしても顧客対応が厳しくなってしまいます。金融グループの中ではクリーンな仕事を中核銀行が担い、サラ金のようなグレーな仕事をアプラスのような信販系が担っていることも忘れてはいけないです。

この手のカードは不正利用が発覚してカード会社に連絡した時点で利用が止まりますが、不正利用に気づかなければどんどん使い込まれてしまいます。カードの不正利用は短時間のうちに行われるので、気づいたときはもう遅いのが常です。その点では、不正利用への補償が手厚いクレジットカードに比べて、セキュリティー的に著しく劣っていると言えるでしょう。

アプラスのGAICAにはICチップがついていないので、セキュリティー的にはザルであることも忘れてはいけません。ICチップはコストが高くなるので、つけていない会社が未だにありますね。同じ外貨プリペイドカードでもICチップがついているマネパカードの方がまだ安心です。

結論としては、コスト的に不利で安全性も低い外貨プリペイドカードは緊急時以外は使わない方がいいと思います。海外旅行で外貨プリペイドカードを使って「便利だった～。」などと脳天気な感想文をネットに書いているような情弱な旅行者にはなりたくないものですね。

追記1　このカードを実際に申し込んだら、カードが普通郵便で届きました。また、カードの表面には本人の名前は入らず、「GAICA MEMBER」と書かれていました。GAICAはコスト削減がすごいです。

追記2　このカードはWEBサイトのアカウントへログインして渡航予定国を事前入力することが必要になっています。しかし、プルダウンメニューでは一つの国しか選べないので、複数の国へ行くときには国境を越えるたびに情報の変更が必要なのか疑問に思われます。そんなのは現実的に難しいですよね。渡航期間や帰国日の項目もないので、この情報がいつまで有効なのかもわかりません。

GAICAカスタマーデスクに電話してみたところ、ここに情報を入れなくてもカードは使えるそうです。「それではこれは何のためにあるんですか？」「どのようにセキュリティーの向上に役立っているんですか？」と質問したら、特に何もないとのことでした。このカードの仕様を考えた人は年に1回くらい海外旅行に行くだけで、日本とどこかの国の単純往復しかしない人なのかなと思いました。自分の経験を越える世界のことに想像力が全く働いていないのは残念です。