2015年3月12日木曜日

マネパカードはぜんぜんお得ではない

FXをしている人なら誰でも知っているマネーパートナーズマネパカードという海外専用プリペイドカードを発行しています。このカードは基本的に事前にチャージしておいた日本円を海外で使えるというだけのカードで、FXのようなリスクはないのでご安心下さい。


マネパカードの使い方は、あらかじめ指定された三井住友銀行の円預金の口座に入金して、マネパカードのサイトにログインして5つの外貨(米ドル、ユーロ、英ポンド、豪ドル、香港ドル)に両替します。このときの両替レートは「マネーパートナーズFXレートに一定のコストを加えたレート」とのことで、その手数料は概ね以下のようになっています。ここでマネーパートナーズがしっかり利益を得ているわけですね。

・米ドル:0.8円
・ユーロ:1円
・英ポンド:1.3円
・豪ドル:0.7円
・香港ドル:0.1円


マネーパートナーズFXの口座があればFX口座のクイック入金を使うことで入金に関する手数料をゼロにして24時間いつでも入金できるようになります。おそらくは手数料無料でFX口座に出金もできると思われます。

マネパカードとクレジットカードのコストの比較をしたのが下の図です。TTM(仲値、銀行が外国為替取引をする際に顧客に対して基準として用いるレート)に基いてVISAやMASTERやJCBが定めた基準レートに対してクレジットカード発行会社は約1.6%の手数料を取ります。この図ではおそらく102.29というのがVISAやMASTERやJCBが定めたレートなのでしょう。このレートはTTM(この図の場合102.17)よりも若干悪くなります。

一方、マネパカードではTTMに対してクレジットカード会社が取っている手数料は一切取っていないようです。その代わりに上に書いたような円貨から外貨への両替手数料を徴収しています。それが下の図の802円に相当する部分でしょう。ゆえに、クレジットカードと比較したマネパカードのコストは約半分になるのです。


この事実からマネパカードがお得だとあちこちのマネー系サイトに書かれており、例えば「マネーの達人」というサイトでは「マネパカードを利用すると、銀行で米ドルに両替するより約1/4の手数料で、クレジットカードの約1/2の手数料にて米ドルを手にすることができるわけですね。手数料の観点から言えば、マネパカードは間違いなくお得です。」と結論づけています。

しかし、クレジットカードを使えばポイントやマイルで還元があるのにマネパカードにはそのようなものはありません。

例えば、「MileagePlus MUFGカード ゴールドプレステージ Visa」は海外利用に対して、100円につき3マイルが貯まります。つまり、上記のように10万円ほど使えば3,000マイル貯まるのです。1マイル=1.5円で計算すると、4,500円戻ってくることになりますね。結局、クレジットカードをうまく使えば、マネパカードでは太刀打ちできないということです。

さらに、マネパカードにはいくつか落とし穴とも言えそうな弱点があります。マスターカードとしてショッピングで使えば手数料は上記の通りですが、ATMキャッシングに使うと下のようなかなり高いATM手数料がかかります。こんなのを払うくらいならATM手数料のかからないセディナカードを使うべきですね。

・USD 2USD/回
・EUR 1.75EUR/回
・GBP 1.5GBP/回
・AUD 2.5AUD/回
・HKD 20HKD/回


また、上記5通貨以外で利用するときにはクロスボーダー手数料として、利用額に3%を加算してUSD口座から引き落とされるとのことです。ゆえに、上記5通貨以外では絶対に使ってはいけないということになります。

マネパカードに残った残金を引き出すときには500円/回(税抜)の手数料もかかります。カード再発行手数料は1,000円/回(税抜)です。

マネパカードの「よくある質問」を読んでいると、「ATMにカードや現金が飲み込まれてしまいました」に対する答えは、下のようになっていました。サポートデスクでは対応しないと冷たいことが書かれています。

ATM画面の取り消しボタンを押して画面を終了させ、最初からやり直してください。それでも出てこない場合は会員様ご自身でATM設置金融機関へ連絡していただき、ただちにATM設置金融機関と、カードの返還及び返金請求をしていただきますようお願いいたします。サポートデスクでは対応いたしかねますので予めご了承ください。また、国、金融機関等によっては対処に時間がかかる場合があります。

とはいえ、こういうカードに使い道がないわけではありません。海外旅行時に残高ゼロのマネパカードをスーツケースの奥の方に隠しておいて、強盗に襲われてすべてのお金やクレジットカードを盗まれたときには、インターネットでこのカードに入金して、それで旅を続けることができます。全然お得ではありませんが、持っておいても損はないカードだと思います。

4 件のコメント:

  1. 実に参考になりました。ありがとう

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  2. Huh?? マネパカードは(1)海外ATMでキャッシュを引き出すのに割安となるし(2)怪しい地域で使用する場合にはカード番号をスキミングされても被害が限られる。こういう実用面を無視して単に「お得でない」と否定するのはどうかと思う。

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  3. マネパカードって国内で使うもんだろ。 還元率1%ぐらいあるからそう悪くない。 普通のカード会社の使えないポイントよりはかなりいい

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  4. このコメントは投稿者によって削除されました。

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