アメリカから飛行機に乗るときには受託手荷物のスーツケースには鍵をかけてはいけません。なぜなら、アメリカの空港ではテロ対策のため、しばしば開封検査を行っており、そのとき鍵がかかっていたらスーツケースを破壊して検査が行われるからです。
日本からアメリカへ出発するときには、例えばサンフランシスコ行きに乗ってサンフランシスコで降りるなら鍵をかけてもいいらしいのですが、そこから乗り継ぎがあるならやはり鍵はかけてはいけません。(乗り継ぎ前にスーツケースを引き取ったところで鍵を開けてもいいのでしょうが、忘れないようにしないといけません。)
しかし、スーツケースに鍵をかけないまま預けるのは盗難に遭ったり衝撃で開いたりするという不安があります。そのため、スーツケースの鍵はアメリカの検査官がマスターキーを持っているTSAロックが一般的になってきました。TSAロックならば開封検査はマスターキーを使って行われるので、スーツケースの鍵をかけてもいいことになっています。
しかし、何事にもいいかげんなアメリカ人のやることなので、TSAロックなのに破壊して検査をされたという報告もあります。空港によってはすべてのTSAロックのマスターキーが揃っていない場合もあるようで、そういうときは問答無用で壊されてしまうようです。そのため、TSAロックであっても掛けない方がいいと最近は言われるようになってきました。
TSAロックのマスターキーでスーツケースを開けて検査を行った後、検査官がマスターキーでのロックを忘れたために、スーツケースの鍵が二度とかけられなくなるという事例も起こっているようです。「♪しょ~もないことを全力で♪」さんのブログの記事が非常にわかりやすいです。これはTSAロックの盲点とも言える欠点ですね。
そもそも、TSAロックなどというものは安全面では全く信用ができません。TSAロックのマスターキーはアメリカの空港の検査官しか持っていないことになっていますが、実際には鍵そのものやスーツケースを作っているメーカーは合鍵を持っているわけです。残念なことに、マスターキーを持っているTSA検査官による窃盗もしばしば報告されています。
スーツケースのTSAロックの鍵は特殊なものかと思っていたのですが、実は簡単に複製ができるごく単純なもので、複製することも難しくはないらしいです。TSAロックというのはアメリカの空港の検査官がマスターキーを持っている(持っていないこともある)だけの100円ショップの南京錠レベルの安っぽい鍵と同じだと考えてよさそうです。しかも、私の持っている2つの中国製スーツケースのTSAロックの鍵は全く同じもの(TSA002、201)で、鍵の種類は偏っているように思われます。
TSAロックは種類が限られているので、合鍵を揃えている窃盗団ならばいとも簡単に開けられるわけですが、マスターキーもすでに世界中に出回っていると言われています。TSAロックをしているから安心というよりは、TSAロックだからむしろ泥棒にも開けられやすいと考えるべきで、実は安全性の低い鍵だと言えるでしょう。私たちにできる安全対策は現金などの貴重品は絶対にスーツケースには入れないことしかありません。
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